ツェッテルカステンのタグを分類から座標に変えた話
概要¶
この記事では以下の内容について扱います:
- PKMのタグ運用問題について
- Novelty Searchとツェッテルカステンの接点
- タグを座標にすること
タグ運用問題について¶
私が運用しているツェッテルカステンでは、メモの繋がりはファイル名と明示的なリンクです。
遠い枝番のメモ同士を偶発的に繋ぐのはインデックスを眺めて「発見する」ことです。
しかし、メモが増えてくるとインデックス目視も時間がかかります。
同じ内容を扱うメモ同士をまとめる MOC を導入しましたが、メモを追加した際に MOC の整備を忘れるので続きませんでした。
そこで、タグを導入しました。
タグが多すぎても意味がないことは経験から分かっていたため、メインメモだけに「NDC」の分類体系を元にメモの内容に合わせた分類を用意しました。
Mainメモ「メインメモにタグ付する案」から抜粋:
認知・学習系
├ #ツェッテルカステン #学習手法
├ #記憶 #脳科学
└ #思考 #意思決定
技術系
├ #AWS #インフラ
├ #セキュリティ
├ #プログラミング #開発 #データベース
└ #生成AI #生成AIコーディング
半年ほど続けてみましたが、これによる横断的なメモの繋がりの発見は起こりませんでした。
Novelty Searchを導入する¶
ある日「Why Greatness Cannot Be Planned」という本の存在を知りました(今年中には読みたい)。
この本で紹介されているNovelty Searchとは、目標を定めず、新しさを指標に探索を続けることで、目標志向な手法より優れた解に到達できるという概念だそうです。
興味深かったのでツェッテルカステンとの類似性をClaudeに考えさせました。
Claude曰く、以下のような点が類似しているようです。
- ツェッテルカステンは、構造レベルで著者Stanley & Lehmanの主張を実装
- Mainメモの命名規則、「幹番号は関連性なし、気になった順」がNovelty Searchそのもの
- ツェッテルカステンは接続がstepping stoneになる設計、事後的な関係発見を記録する仕組み
そこで、「Novelty Searchからツェッテルカステンに取り込めそうなもの」を更に質問しました。
結果は以下の2つが挙げられました。
- Interestingness Metric
- 「他のstepping stoneへの接続可能性が高そうかどうか」の直感的評価
why relevantを一行書くだけに簡略化すると、判定じゃなく記述になって、慣性が止まりにくくなるかも- 「〇〇を読んでたら浮かんだ」くらいの粒度で十分stepping stone記録になるはず
- Behavior Characterization
- 「何をnovelとみなすか」の特徴空間の定義
- 「このMainメモ、全然違う分野から2本以上枝が来てる」みたいな構造的noveltyの検出ができたら良さそう
- グラフ構造として可視化できると面白い
Interestingness Metric としての why relevant は、既に何故それを知ったのか・メモしたのか程度の情報を本文に書くこともあったため、明示的に記載するフロントマターを新設しました。
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why_relevant: "〇〇読んでたら浮かんだ"
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Behavior Characterization に当たるものとして、タグが考えられそう且つ現状のタグがしっくりこなかった為、新たに考えました。
タグを座標にする¶
当初導入したNDCベースのタグは「内容による分類」であり、同じ概念の中でしか検索できません。
ツェッテルカステンが本来持つ、文脈の異なるメモ間の新たな関係を発見する機能をタグが担えていませんでした。
私のツェッテルカステンの問題は、以下の2点がインデックス目視に依存していることでした。
- 新しいメモを追加する位置の探索
- 遠い枝番のメモを繋ぐこと
メモの内容を元にしたキーワードをタグにすることは必要です。
しかし、ツェッテルカステンのメモの繋がりは、「内容が同じである」だけではなく「構造が同じである」も含まれます。
つまり、抽象構造のタグも必要です。
結果、以下の2種類のタグを導入しました。
context/x=意味空間の座標meta/y=抽象構造の座標
具体的には今回記事の元になったMainメモ「ZKにnovelty searchを導入する」だと、以下のタグをつけます。
context/情報科学/PKMmeta/構造的類推
Obsidianではタグを階層構造にできるため、 context/情報科学/PKM は context/情報科学 の検索にも引っ掛かります。
meta/構造的類推 でタグ検索すると、contextタグが全く異なる分野のメモでも「構造的類推」に関する考えをまとめたメモが見つかります。
metaタグがあるとメモを作成する際に、「どのメモと繋がるか」の前に、「どのような構造か」という問いが出る為、メモの繋がりを考えやすくなります。
そして、「同じmetaタグではどのメモがあるか」という実際のタグ検索で既存のメモへのアクセスが容易になります。
構造に名前をつけるのが難しい場合、AIの力を借りるのも有用です。
AIは具体的な概念から抽象化する、分類をすることが得意です。そこで出てきた単語・概念が存在しないものだったとしても妥当であれば受け入れます。
書籍メモ( Info/book )やウィキ( Info/wiki )のメモとして、「存在しない用語」である事実を残しておくと後々困りません。
具体的には meta/Resting≠inactiveパターン というタグができました。
このタグは、ミクログリアを調べていた結果、脳のDMN(デフォルトモードネットワーク)と同じ構造「元々休んでいると思われていたが安静時に活性化していた」だと気がつき、Claudeに命名を依頼した結果です。